ブログ版 【大切な人から「もう死にたい」と言われた。 あなたならどうしますか?】 後編
真夜中の0時過ぎに水商売を紹介した女の子から電話が鳴る。
仕事柄、どんな時間でも必ず電話に出る習慣があったので、電話に出ると、
「もう死にたい」
突然の聞きなれない言葉にリアクションに困る。何も出てこない。
「この子に俺が出来る事は何だろう、、、」
とにかく何があったのか聞く。
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気づいたら3時間経っていた。
最初のうちは真剣に相手の気持ちに同調しすぎ、相手が自分の言う事をわかってくれない歯がゆさと、思うように自分の気持ちを伝えられないもどかしさで、僕自身、自分の事が嫌になってしまっていた。
「そんな事考えても何も生産性がないじゃないか!」
「そんな事をして親が悲しむと思わないの?」
でも、相手には何も伝わらない。
それどころか、より一層泣きじゃくる。
「そんな事はわかってるんだよ!!」と。
今思い出せばはっきりと理解できるのだが、誰が説教される為に真夜中に電話をする奴がいるのだ。
本当に短絡的で、あの頃の自分は若かすぎたな、、、と今でも反省している。
ベクトルが 「相手に何を伝えようか?」と自分の方を向いているのだ。
そんなポンコツ粗チン野郎だったので、女の子は一瞬だけ僕の言葉に耳を貸そうとするが、30分ほどするとまた 「死にたい」 と言ってくる。
時には罵声を浴びせる様に、時には声にならないくらい淋しそうに、、、
まるで自分の意思とは裏腹に、本人の言葉とは思えないキャラなのだが、同じ言葉が繰り返し出てくる。
6回目の「死にたい」を聞いた時に僕は気づいた。
これは、自分の意思で言っている訳ではなく、何かに言わされているのだ。
彼女の状況が、彼女の口を通して発しているだけなのだ。
つまり、彼女は自分の体を通して何かを伝えたがっているのだ。
「わかって欲しい」と。
私が今、
どんな状況にいて、
どんなつらい思いで過ごしているのかを、
私の身に変わって! わかって欲しいんだよ!!
と。
僕はそれに気づいた時、本当に切なく、申し訳なく思った。
僕は彼女と変われない、変わってあげられない、、、
だから僕の言葉は伝わらない、何一つ伝えられないんだ、、、
僕は気づいた。
「今、この瞬間、僕は、無力なのだ。」
と。
だがしかし、
その子が「何をして欲しいのか?」全力で伝えてくれていた事、
そして 《人とコミュニケーションをとる事》 において真っ先にやるべき事の答えに行き着くまで、そう時間はかからなかった。
なんとか泣きじゃくる彼女をなだめる事ができ、電話を切って冷静になってからよく考えてみた。
人はどんな時に自分の現状抱えている最大の悩みを話すだろうか?
つらい時につらい!と、誰に言えるのだろうか?
誰になら自分も弱さをさらけ出せるのか??
家族に言えるか?
少なくとも親に内緒で夜の仕事をしている彼女たちは、状況がより厄介になるのを避けるため親には相談できないのだ。
そこでこの事に僕は気づいた。
「死にたいくらいツラい!ってことが誰にも言えない。でも、この人になら言えるかも。一番私の状況を理解してくれているはずだから、、、伝えるのは怖いけど、、、ようやく言えた!」
それに気づいた時から、僕にははっきり彼女が本当に言いたいことが聞こえる様になった。
「助けて!」
と。
最後の力を振り絞り、心の底から叫んでいるんだと。
他人に心の闇を見せるのはかなりのエネルギーが必要なのだ。
人は相談する相手を無意識に選んでいるのだ。
一番理解してくれそうな人を。
これは恋愛においても言える。
悩みを打ち明けられたと言うことは、信頼できる人だと認められたサインなのだ。
そんな状況も知らずに僕は、「親が悲しむよ」「そんなことを考えて何の得にもならないじゃないか」
と無責任に言っていったのだ。
わかっているけど出来ない状況にいる人に使う正論が、どれだけ深く傷つけるかを知らずに、、、。
何にもわかってないじゃないか!!
むしろ傷口に塩を塗っていたのは俺だったんじゃないか!!
鈍感でチンカス野郎の僕でもようやく気づけた。
「彼女の悩みは解決して欲しい訳ではなく、理解をして欲しいだけなのだ」
これは、大切な人の命を守るため、また自分自身がツラくなりすぎないために、一人でも多くの人に知っていただきたいことでもある。
人は理解をして欲しいから悩みを相談したり、強がったりするのだ。
自分の弱さをさらけ出すことは勇気がいる。
悲しみにうちひしがれ、何かに怒り狂って我を忘れている人は皆、服を脱ぎ捨て、全裸で突っ込んでくるくらい無防備なのだ。
そんな人を見た時に真っ先に僕が取るべき行動はたった一つだったのだ。
「わかったよ。とっても辛かったんだね。もう一人で悩まなくても大丈夫だからね。何があったか話してごらん。」
僕は何もできないんじゃない。全力で話を聴いてあげる事が出来るのだ。
僕は「死にたい」と言う彼女達から大切なことを教わった。
なので僕に伝えられる事を伝えようと思う。
もし大切な人の絶望が深すぎて生きることを諦めていたら?
もし大切な人が犯罪行為を犯してしまったら?
もし大切な人が他人を傷つけてしまったら?
もし大切な人が罵声を浴びせてきたら?
まずはこう言って欲しい。
「俺にはわかるよ、本当に大変だったんだね。」
と。
人はわかって欲しい生き物なのだ。
彼女の過去にどんな事があったのか僕にはわからない。
他人がどんな生き方をして、どんな環境で生活して来たのかは理解できるわけがないからだ。
だからこそ伝えなければいけない。
「変わってあげる事は出来ないけど、君の気持ちに寄り添ってわかろうとしてあげる努力はしてるんだよ」と。
そして、傷口が塞がったそのあとに、幸せになる為の一歩を踏み出すことを選ぶのは本人なのだ。
本人のその勇気と手柄を奪ってはいけない。奪ってしまうと彼女が幸せになれなかった時はあなたのせいになってしまう。報われない努力をさせられたのはお前のせいなんだ、となって。
人の悩みに中途半端に首を突っ込んで口出しすると痛い目を見るのはそういう事だ。
つまりあなたが出来る事をまとめると、
⒈話をひたすら聞く。
⒉解決策は 「本人が自分の中から見つけられる」 ということを信じる。
⒊あとは本人に委ねる。
変わってあげる事ができない相手に、
「どうやったら本気で寄り添っていることを伝えられるのか?」
を全身全霊を込めて考え抜く。
これが成熟した大人ができる本当のコミュニケーションなのである。
“本テーマのおさらい”
【大切な人から「もう死にたい」と言われた。
あなたならどうしますか?】
【回答】
「死にたいと思うくらい、ツライんだね。」と受け止め、「でも、どうして死にたいの?」と優しく理由を聞く
【解説】まず覚えておいて欲しいのは、「死にたい」と言っている人に寄り添い、どうにか説得しようとすると、あなたもエネルギーをもっていかれます。なぜなら相手と変われないので完全に理解するのは不可能だからです。ここでは簡単に手順だけを伝えます。
⒈死にたいくらい辛いんだね…と相手をまず受け入れる。
⒉でも、どうして死にたいの?と理由を聞く。
⒊絶対に説教をしてはならない。
⒋ひたすら相手の話を話終わるまで聞く。
⒌相手が話し終えたら「私に出来る事って何かあるかな?」と質問する。
⒍最後に「私は死なないでほしいな」と自分の気持ちを伝える。
今回はここまで。
少しでもお役に立てることを祈っています。
また次回お会いしましょう。
【ここまで僕の長文を真剣に読んでくれた人へ】
あなたは優しい。
あなたなら大丈夫!
そんなあなたの深い優しさを必要としている人は必ずいるのです。
あなたに眠っているその資源を、この世界に解き放ってください。
そうすれば必ずあなたの元へと舞い戻ってきます。
それが人間本来の生涯を共にするパートナーとの出会い方なのですから。
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